「上顎右側第二大臼歯遠心縁下歯石除去 マイクロスケーリング®」東京顕微鏡歯科診療専門歯科衛生士YU
- 2018.02.13 Tuesday
- 22:01
歯石には、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石があります。縁上歯石は歯茎より上のラインに、歯の表面に付着してくるものをいいます。本来私たちの体は体の内部に細菌が侵入してこないように歯茎が歯にぴったりとくっついて、歯や体を守る防御機構になっています。しかし、何らかの原因でその歯茎のバリアが壊されると細菌が歯茎の中に付着して、それが石灰化したものが歯肉縁下歯石です。つまり縁下歯石は体の内部に細菌が侵入している証拠です。長期にわたって縁下歯石が付いていると、歯石は異物なので歯茎が歯にぴったりくっつくことができなくなります。すると細菌の格好の侵入経路となり、体にとって慢性の炎症となることもありますし、歯周病が進行する原因になります。
しかし、肉眼では歯茎の中についた歯石を取ることはできません。なぜなら、縁下の歯石が確認できない状態で歯茎の中にスケーラーを入れて盲目のまま歯茎の中でスケーラーを動かすからです。そして手指の感覚だけで歯石が取れたことを確認します。見えないので本当に歯石が取れているのかは誰にもわかりません。
歯石が確認できない状態でスケーリングして、どうして歯石が取れていると言い切れるのか全然わかりません…、すみません。
歯石を目視で確認、器具を確実に歯石当てて除去、歯石が取れたことを確認。これらをしないで歯石が取れたと言えるのでしょうか…。
私は歯科衛生士になってから歯科用顕微鏡を使用しないスケーリングをしたことがありません。良いのか悪いのかわかりませんが。なので今、肉眼で歯石除去を頼まれたらどうしていいか全然わかりません。歯石が見えないのにどうやって歯石を取るのかと…。
顕微鏡歯科衛生士診療も歯科医師同様に歯科衛生士専用個室、完全予約制、原則的に顕微鏡専門歯科衛生士がアシスタントに付きます。
しかし、歯科用顕微鏡を使用して歯石をとる医療行為は容易ではありません。日々練習してもまだまだ思うように手が動かず、毎日悔しい思いをしています。歯石を取ることは、まさに職人技です。そして私はとても恵まれたことにお師匠歯科衛生士のnaomiさんがいます。毎日たくさんの高度な技術や歯科衛生士として患者さんを診るという考え方を教えていただいています。
さて、本日の上顎右側第二大臼歯遠心縁下歯石除去です。少々画像が見えにくい点はご了承ください。
エアーをかけると歯茎が開き縁下歯石がちらっと見えます。
拡大します。歯肉を傷つけないように歯茎を少し開いて視野を広げます。
遠心隅角にも歯石の付着を認めます。
縁下歯石の垂直に縁上から超音波スケーラーで粉砕していきます。この時のスケーラーの刃の角度がとても大切。できるでけ歯肉の組織は傷をつけないように歯石にだけ超音波スケーラーを当てることを意識します。
歯石除去後です。
人の口腔内は、唾液や歯肉浸出液、血液など視野を邪魔するものがたくさんあります。これらをうまく排除してできる限り視界をクリアにすることが大切です。しかし、これが難しい…。特にエアーをかける技術が至難の技です。歯肉の中にエアーがかからないと歯石の全体像が見えてきません。明日からまた特訓だ〜。頑張ろう。
ご参考までにどうぞ ^ ^
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